役員給与の減額について
こんにちは。 不景気がこれだけ長びくと、業績の悪化を理由とした役員報酬の減額を続けている企業も少なくないでしょう。 平成18年度の税制改正以後、役員給与に係る規制が強くなり、期中の報酬額の増加だけではなく、減額についても厳しく制限がされることとなりました。 事業年度開始から3月経過日後の改定である場合、「当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」と定められる業績悪化改定事由に該当する場合のみ、役員報酬の減額が認められます。 もし認められなければ、減額後の月額で年間ならした金額のみ、損金が認められることとなります。 しかし、この事由に該当するか否かは、規定上の具体性に欠けるため、個別の実態に即して判断しなければなりません。 法人税基本通達9-2-13に次のような解釈が示されています。 ↓ 令第69条第1項第1号ハ《定期同額給与の範囲等》に規定する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。 ↑ また、国税庁が公表した「役員給与に関するQ&A」には、以下の通り書かれています。 ↓ 業績悪化改定事由に該当するかどうかは、会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない客観的な事情があるかどうかにより判定する。「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれる。 そのため、例えば、下記のような場合の減額改定は、第三者である利益関係者との関係上、減額せざるを得ない事情があり、通常、業績悪化改定事由に該当することになると考えられる。 ①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合 ②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合 ③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額が盛り込まれた場合 ↑ 上記Q&Aによりある程度の具体化が図られたとみられますが、あくまでも一例に過ぎず、また①は上場企業等以外は該当しないケースがあることから、未だ個別の事例ごとに判断しなければならない部分が大きいと考えられるでしょう。 報酬の増額については、特に同族会社においては利益の圧縮効果が高いことから、制限の必要性が理解できますが、減額については、ある程度企業ごとの事情に応じて柔軟に認められてもいいのではと思います。 ・メルマガの登録はこちら
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